鉄オタ税理士のブログ

日本学術会議と白い巨塔

政府が「日本学術会議会員」の推薦名簿のうち6名を任命しなかったことについて色々騒がれています。

会員は特別国家公務員で、毎年10億円以上の国の予算(つまり税金)で運営されている組織だそうです。

任命拒否の是非は置いといて、そもそも「日本学術会議」なんて組織があることすら知らなかった方も多いのではないかと思います。

私この「日本学術会議」という言葉を、高校2年(1978年)から知っておりました。

といっても私がその会員を目指して勉強していたわけではもちろんありません(^^)

当時フジテレビ系列(確か毎週土曜9時)から、故田宮二郎主演のテレビドラマ「白い巨塔」(山崎豊子原作)がやっており、その中で登場します。

誤診裁判の第一審を乗り切った少壮教授である外科医財前五郎(田宮二郎)は、控訴審と並行して鵜飼医学部長(小沢栄太郎)から「日本学術会議」の医師薬系近畿地方区の選挙に出馬するよう促されます。

本来名誉職の色合いの強い「日本学術会議」に教授となって2年目の財前が出ることなど異例で教授会では重鎮の基礎教授大河内(加藤嘉)らは反対しますが、自己の出世の一助にすることを画策する鵜飼らによって、財前の担ぎ出しに成功します。

日本学術会議の選挙といっても、公職選挙法の規制を受けない選挙、大量の現ナマと利益誘導、贈賄の世界です。選挙の票と引き換えに医局員が地方の分院に飛ばされるなんてのも全く意に介さない世界です。

控訴審と学術会議選挙、さらには日々の教授としての務めにやがて彼の体は蝕まれていくのですが、そうとは気づかず岳父(財前又一産婦人科医)の財力もあって、学術会議選挙は当選、しかしそれもつかの間、控訴審は敗訴となり、直後に末期の胃がんが見つかり死んでいくという筋書きは、高校生の私には衝撃的な社会派ドラマでした。

また最終回放送の直前に田宮二郎が猟銃自殺したというのもショッキングでした。

ビデオを借りて何度も見返していますので、セリフのほとんどを覚えています。

さてこの「白い巨塔」のドラマはその後2003年に唐沢寿昭で、2019年には岡田准一でリバイバルしますが、なんか物足りません。

今ようやくわかりました。

「学術会議選挙」のシーンがないんです。

それもそのはず「日本学術会議」は1984年以降、選挙がなくなっているのです。

先に書きました通り、選挙といっても買収合戦、金と権力のあるほうが勝ちみたいな選挙では「日本サイエンスアカデミー(?)」の名に恥じると思ったのでしょうかね?

とはいうものの、一応1983年まではまがいなりにも選挙で民主的(?)に選ばれたため、内閣総理大臣はその推薦人を形式的に無条件で任命していたようです。

今回の是非論争のひとつの材料である1983年参議院文教委員会での政府答弁「首相による任命は形式的であり実質的でない」や「ただ形だけの推薦制であって学会から推薦頂いた方を拒否したりしない」は、実はまだ選挙が行われた時代の答弁であることも注目したいですね。

「任命権」があるということは「任命責任」があるということ

今後万一学術会議会員が重大な不祥事や刑事事件を犯したとしたら、首相の任命責任も問われるんでしょうね・・

あ、因みに財前の死因ですが、田宮二郎の時代は「胃がん」、唐沢寿昭は「肺がん」、岡田准一は「すい臓がん」です。

この辺り医学の進歩で不治の病も変わってきてますよね。

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